[top] | [bottom]
Index
Table

第四轉 解説

A Compendium for the Table No.04

[Before] | [Next]



この轉からは、第十六轉まで、陰聲韻、 つまり、大まかに云って、韻尾が母音で終わる韻が、 ひとしきり、收められています。
圖では、陰聲韻には、入聲が配屬されていません。
(『切韻』系の韻書でも、 宋の『廣韻』で陽聲韻の順序とほぼ揃えられるまでは、 陰聲韻とはまた別の順序に據っていました。)
上古・先秦では、 收脣韻尾以外の入聲は、 むしろ陰聲韻に配屬されるべき性質の強いものでしたが、 中古では、 そういう性質が薄れてきたということなのでしょう。
入聲を再び陰聲韻に配屬する韻圖(例えば『切韻指掌圖』) があるのは、後代でのいわゆる入聲韻尾の弱まり が關わっていて、直接に上古との關係だけで言うわけには ゆかないようです。
韻についての陰陽は、 この陰陽(母音と鼻音)のほかに、
四聲おのおのが中古以降徐々に別れていった、 聲母の清濁を起源とする陰陽・上下があります。
ここでは今それは、また別の話しなのです。
第四轉と第五轉とは、 支韻開合の對です。
この支韻は、いわゆる重紐韻で、 「脣・牙・喉」音が三等位と四等位とに兩方分布しています。
上古から古今東西全てに渉っての可能性という意味でなく、とりあえずは 現在、その韻書と韻圖とで見る所の、“中古音”全般の在り方として、 開合の對は、脣音の種類を、一對だけ共有する のですが、
この韻では、重紐という現象で、(三四等位に一對づつ)二對 になっています。

これは、 その起源が、同じ發音の部類ではなかったことを示すものです。
この支韻では、上古の分部を重紐の區別から洗い出すことが、 比較的、容易です。(特に仄聲)
このことと、「支・脂・之」三韻の別れとは、 古本韻である齊韻が「支・脂」合併後の姿であるという例外を、 補うかのようです。
このQYTの韻圖ファイルでは、 脣音字の開・合の位置に就いて、 餘りばらついた置き方をとりません。
(もとの『韻鏡』では、少し見え方が異なるのです。)
それはこの、“開合の對が一組の脣音を共有する” という考えに、據るものです。
依って、實際の配置は、 影印版などの書籍によって確かめてみてください。
(例えば勉誠堂の影印や古逸叢書所收など。)

この支韻の場合特に、
綺麗に重紐に反映した古音の別れが、 「唇・牙・喉」音以外にも及んでいるために、
それで、他の重紐三等韻全般に渉って 重紐の反切規則の研究が 齒音などにも及ぶことになったのではないでしょうか。
(但し、ここの「それで」以降云云は、これは臆測です・・・。)

[「唇・牙・喉」重紐、甲四「」多、乙三「」多]







「韵鏡」廣韻切韻分布捷徑 [記號案内]
五十三加凡例一丁全五十四
二百六韻分配鏡七音有無圖
[top] | [bottom]